Reservation空室検索・予約
航空券付きプラン
提携法人専用予約
2025.01.05
「ホテルリソル札幌 中島公園」から地下鉄で4駅。「菊水駅」から数分ほど歩き進めると、落ち着いた住宅街の一角に現れる白地に「増田おはぎ」と記されたのれんが目にとまります。
のれんをくぐりドアを開けると、迎えてくれるのは木箱の中に整然と並ぶ彩り豊かなおはぎたち。その美しくも愛らしい佇まいには、思わず感嘆の声がもれてしまうほど。
2018年に増田美恵(ますだ よしえ)さんがオープンしたお店で毎朝一つひとつ丁寧に手作りされるおはぎにはファンも多いとか。その魅力をより深く伺うべく、実際に足を運びました。
店主の増田さんは、福岡県・北九州市の出身。札幌との縁ができたのは、息子の英之(ひでゆき)さんが大学進学を機に移り住んだことがきっかけでした。
英之さんは就職後に脱サラし、四国で修行を積み中央区に「増田うどん」を開店。増田さん自身は実家が蕎麦屋で調理師免許を取得していたこともあり、お店を手伝うため夫婦で札幌へ移住することになったのだといいます。
創業期を支えていた増田さんでしたが、スタッフがお店に馴染んできた頃に引退を決意。しばらくは自宅で趣味のパッチワークを楽しんでいたそうですが、「やっぱり何かしたい。」という気持ちは次第に大きくなっていったそう。
そんな中、うどん屋で働くスタッフを労うため差し入れた手作りおはぎが好評。「これで商売ができるのではないか」との声が上がったことが、おはぎ屋の創業を後押ししました。
日々関わる方々への感謝の気持ちを絶やさない、店主の増田さん
「札幌で暮らすようになってから12年目に入りますかね、みなさん本当にやさしく接してくださいますし、すごく住みやすいまちだと思います。」
縁あって自宅近くのこの場所で営むことになったお店は、小さいながら温かみを感じる空間。オープン当初から多くのお客さまに愛されています。
「最初は主人と2人で“細々やっていきたいね”という話をしていたんですが、オープン時からテレビ局の方が取材に来られたこともあり、そこからたくさんのお客さまがいらっしゃるようになりましたね。」
想定外のことで驚きつつも、とてもうれしそうに笑みを浮かべる増田さん。どのおはぎを選ぼうか迷われているお客さまにも、丁寧に寄り添いながら会話を楽しむ様子から、その人柄が垣間見えます。
左から「くり抹茶」「チョコレート」「みたらしさつま」
そんな増田さんにとって、おはぎはとても馴染み深いものだったそう。
「私が嫁いだ主人の家が農業を営んでいたものですから、小豆やもち米などの材料がいつも手に入る状況だったんですね。それに、きな粉だと手軽に作ることができるので、お誕生日や何かイベントごとがある時にはよく作っていたんです。」
「『おいしい』『お土産に持って行ったら喜ばれました』というお声をよくいただくので、すごくうれしいですね。」
左から「紫いも」「かぼちゃ」「いちごとクランベリー」
「増田おはぎ」が大切にしているのは、“自分で選ぶ楽しみ”があること。木箱には常に15種類ほどの色とりどりのおはぎが並び、一つひとつを小さめに作ることで、お客さまが好むものをいくつか選べるよう工夫しているといいます。
また、小豆やきな粉などの定番のおはぎに加え、夏はトウモロコシや枝豆、秋口になると栗、かぼちゃ、いもなど、季節ごとの旬を取り入れた四季折々の創作おはぎが登場。着色料などは使わずに、食材の自然な色味を引き出しているのです。
中には、九州の方では定番という青のりをまぶしたさっぱりとした味わいのおはぎや、チョコレートと合わせたスイーツ感覚で味わえるものも。
見た目の美しさや味のバランスも考え、おはぎの上にオレンジピールやクランベリーを乗せるなど、増田さんの発想力が光るバリエーション豊かな創作おはぎ。お客さまがどれを選ぶか迷ってしまうのも、うなずけます。
この地でお店を営むからこそ“北海道産の素材をできるだけ使いたい”そうした想いもオープン当初から持ちつづけています。
おはぎの土台となるもち米には、北海道の代表格として知られる「はくちょうもち」を。創業時に「増田おはぎ」の道路をはさんで向かいにある「井元(いもと)酒米店」へと相談に行き、お店のご夫婦に選んでもらったのだそう。
「色も白くてきれいですし、味もいいんですよね。炊いたあとは均等に分割してごはんを丸めていくんですけど、その工程をきれいに仕上げることが一番なんです。」と、おはぎを作る中で大事にしていることを教えてくれました。
北海道産きな粉をふんだんに使用し、昔ながらの製法で手作りした坂口製粉所の「きなこ黒豆」
そのほか、小豆はもちろんのこと砂糖やきな粉も北海道産のものを使用しています。
きな粉は、札幌で1922(大正11)年に創業した老舗「坂口製粉所」のもの。「こちらのきな粉は本当においしいんですよ。」と差し出してくれたのは、同社によって作られている黒大豆を100%使用した「きなこ黒豆」。
こちらは「増田おはぎ」でも販売されているそうで、「5個まとめて購入する方もいるくらい好評なんです。食べ出したら止まらないんですよ。」と、笑顔を見せる増田さん。
語られる言葉の端々から、札幌や北海道の食材を敬う気持ちや素材を大切にしたいという想いがたっぷりと伝わってきました。
定番の「小豆つぶあん」。15個分が入る箱があるため、一種類ずつ選んでお土産にするのもおすすめ
「パックに詰めたものを販売するというよりは、これだけずらりと並んでいるおはぎをいろいろと見ていただいて、お客さまの好きなものを選んでいただくのがよいんです。」
「昔からあるもので、手作りのよさが感じられるものがおはぎだと思います。季節によって素材を変えながら作るのが私自身の楽しみでもありますので、基本はやっぱりつぶあんやきな粉ですが、季節のものもぜひ召し上がっていただきたいですね。」と、増田さんは最後に語ってくれました。
“こんなふうにしてみたらどうだろう?”“今度はあれを試してみよう!”と、湧いてくる発想を次々と形にし、お客さまとの会話を楽しみながらおはぎを届けつづける「増田おはぎ」。
毎朝心を込めて作るおはぎをほおばれば、手仕事の温もりと札幌のまちを巡る季節の味わいがきっと口いっぱいに広がることでしょう。
増田おはぎ(菊水本店)
住所:北海道札幌市白石区菊水5条3丁目5−17
電話番号:011-813-7557
アクセス:地下鉄東西線「菊水駅」より徒歩7分程度
SNS:https://www.instagram.com/masudaohagi_kikusui/
*営業時間や定休日についての詳細は、上記のリンク先にてご確認ください。